GOOD DESIGN,GOOD COMPANYに長谷川刃物が掲載されました。

2018/03/27 カテゴリー:お知らせ

経済産業省 中部経済産業局発行のGOOD DESIGN,GOOD COMPANY 工業デザインに関する意匠制度活用事例集に長谷川刃物が掲載されました。

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内容はこちら:

「関は昔から刃物づくりのまち。創意工夫を心がける風土から、新しい声を聞く姿勢が育まれました」

 長谷川刃物株式会社は1933年(昭和8)の創業以来、岐阜県関市に本社を置く老舗の刃物メーカーだ。創業当時は布切ばさみからスタート。長谷川尚彦社長は祖父の代から引き継ぐ3代目であり、現在ではユニバーサルデザインに特徴のある各種のはさみや爪切りなど多くの刃物を取り扱っている。

 普通のはさみなら、100円均一ショップで安価に販売される時代にあって、同社のハサミは鋭い切れ味に加えて「こんな便利なものがあったのか」というアイデアによって付加価値を高め、価格を安定させている。

 

ユニバーサルデザインを新たな商品に。

 そのアイデアの一つがユニバーサルデザインだ。「HARAC」シリーズは2004年に商標権を登録。このネーミングには、刃物(=HA)がラク(=RAC)に使えるようにという思いが込められている。

 グッドデザイン賞を受賞した手のひらサイズのはさみ「Casta」は、幼児やお年寄り、障がいのある人でも使用できるはさみとして開発。本のラミネート加工を行っている福祉施設に粘着がつきにくいハサミを納品した際に着眼を得たという。

「握力が弱い人がはさみを握れずに、口で扱っているのを見たんです。何とかしたい、誰でも安心して負担なく使えるものを作れないかと思い、これまでとはまったく違う形を考案しました」(長谷川尚彦さん)

 実ははさみは切る時に閉じる以上に、開くときに親指に負担がかかる。このため、握力が弱い人や指先を動かしにくい人でも使いやすいように、持ち手をカスタネット状に変え、間にバネを入れることで、手を離せば力を入れずとも自然に刃が開くようにした。

 またマウス型のカッター「Line」は、ものを切るという動作に対する考え方を根本から変える新しい形だ。握力の弱い人はカッターのようなペン状の形は使いづらい。また、カッターはほぼ垂直に立てて力を加えなければ紙を切ることが難しい。しかし、同社のマウス型のカッターであれば、ボタンを手の甲でプッシュするだけで自由自在に紙を切ることができ、足でも使えるものになっている。

 この発想を応用した爪切りも同様で、筋ジストロフィー症の子どもが自分で爪切りできるように開発しプレゼントしたところ、とても喜んでもらったという。高齢の方も含めて床に置いたまま、自分で爪を切ることができる。

 これらとは別に実用的なはさみについては、もともとカナリアの絵を企業ロゴにしていたことから「CANARY」というブランドを展開。加えて、「本関刀」、「長谷川刃物」というブランドの立ち上げ中であり、外部のブランドデザイナーを起用し、これら4つのブランドのトータルなブランディングを進めているところだ。

 

世界的デザイナーと関の刀匠のコラボ。

 同社では、最近、刀「本関刀」(ほんせきとう/商標登録済)を開発した。この太刀は純金メッキを施した鞘をスイスのデザイナー集団であるアトリエ・オイ社がデザインし、刀身を関の刀匠・加藤正文実氏が鍛えたものである。2017年の「ミラノ・サローネ」で展示したところ好評を博し、有名ブランドで販売する予定になっている。

「昔からデザインが好きで、海外へ短期留学したことがあります。その時、仲良くなった芸術家たちと夜、一緒に飲んでいたときに、『ブランドで刀をつくってもらえたら』と話したことがあったんです。その夢が叶いましたね」(長谷川尚彦さん)

 その出会いは、岐阜県がアトリエ・オイ社の代表を務めるパトリック・レイモンさんを連れて訪問した際に、居合道を学んできた長谷川社長がスパッと裏庭の竹を切って見せたことがきっかけだったという。刃物のまちとして知られる関ならではのエピソードである。

 

「創意工夫」を意匠権として登録する。

 同社が得意とするあっと驚くような新たな刃物の形を守るには、特許権以上に意匠権がぴったりだ。同社では、新商品の企画と共に意匠権を出願・登録している。

「ここ関市には創意工夫を凝らして商品開発する企業風土があるように感じます。当社では現場のお客さんからのリアルな声を受けて開発・改良していますが、考えてみると創業者の時代から、新しい声を聞く姿勢があったように思います。」(長谷川尚彦さん)

 意匠権登録が模倣品対策で効果を発揮した例も経験している。100円均一ショップの店頭で、同社の超小型はさみ「マイクロシザース」と同じ形のものが並んだことがある。海外で製造されたとわかり輸入販売元に警告書を出してすぐに販売を止めてもらった。

 マイクロシザースは600円で販売しているため、模倣品の値段100円を差し引いた500円分の付加価値を意匠権で守れたことになる。創意工夫による付加価値を知的財産権が守った好例である。